ラトル指揮 ベルリン・フィル 《神々の黄昏》 |
しかし、やはりアルコール効果が存分に発揮されて、第1幕 最終部分で沈没してしまった。残念。HDDレコーダーとかを手に入れたいものだが、まだまだ地デジすら放置状態である。
オペラをDVDとかテレビ放映で見ても、経験的に、なかなか演奏の出来具合がわからないものである。しかし、今夜のベルリン・フィルのすごさは一聴即座に耳に飛び込んでくる。合奏の緻密さ、音量の滑らかな増減コントロール、遠近感をともなったたっぷりとしたホルンの響き。文句の付けようがない。
ラトルはやや早めのテンポではなかったか。要所での緊張感の高まりが迫ってくる。判然とはしなかったが暗譜で振っていたのかな。それに、日本人らしき奏者がちらりと見えたような気がしたのだが、酔眼のせいかも。
これだけハイビジョンで――アップを主体に、くっきりと見せられると、歌手の歌いぶりだけでなく、スタイルがやたらと目についてしまう。冒頭のノルンからして、声量だけでなく体重もたっぷりの女声陣の登場である。
ジークフリート(ベン・ヘップナー)も、贅肉たっぷりの中年おじさんといった雰囲気である。ナマの舞台に接すればもっと印象が変わったと思うが。
ハーゲンの登場する第1場。演出上はまったく衒いが無いというか、シンプルなものである。読み替えもないようだ。どこかマフィアの跡取り騒動といった様子である。映画「ゴッドファーザー」を連想させる。ハーゲンが暗い企みにふける場面など、まさにアル・パチーノそのものである。
山上の場面。ワルトラウテのアンネ・ソフィー・フォン・オッターが登場すると雰囲気が一変する。ちょっと格が違う感じだ。
残念ながらこのあとの場面はまったく覚えがない……。
【出演】
ジークフリート:ベン・ヘップナー
グンター:ゲルト・グロホウスキ
アルベリヒ:デール・デュジング
ハーゲン:ミハイル・ペトレンコ
ブリュンヒルデ:カタリーナ・ダライマン
グートルーネ: エンマ・ヴェッテル
ワルトラウテ:アンネ・ソフィー・フォン・オッター
合唱:ベルリン放送合唱団
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サイモン・ラトル
演出:ステファヌ・ブロンシュウェグ
[収録:2009年6月28,30日, 7月9日 プロバンス大劇場 (フランス) ]