グラインドボーン音楽祭2012:大野和士登場 |
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その様子がNHK-BSで放映された。2012.9.25(月)
演目はラヴェルの2つの歌劇《スペインの時》と《こどもと魔法》。いずれも1幕もので、よく並べて演奏されるようだ。来年のサイトウキネンでもやるとか、聞いたような気がするが。このグラインドボーンも、演出(舞台装置も)もことさらに2つのオペラの対照面を際立たせることをねらったようでもある――《スペインの時》の現実性と、《こどもと魔法》の幻想性か。演出のロラン・ペリは、前回も大野和士と組んで《ヘンゼルと・グレーテル》をやっていますね。
大野和士の指揮ぶりは、いずれも明確なリズムが聞きとれる、メリハリの効いた演奏だったと思う。ときにスペイン風の響きが鮮やか。
《スペインの時》はコミックなのだろうか。舞台は時計屋の店先。壁一面に様々な時計がカラフルにかけられている。大切な役割を担う大型時計が並ぶ。一方で、洗濯物が干されているとか生活臭もかなり。牛はスペインの象徴?
仕事一筋の平凡な亭主と、亭主に愛想をつかしている美人妻。亭主を外出させ、その留守に女房が浮気を目論むというストーリー。ドタバタのあげく、最後の場面では時計屋が、高価な時計を売りつけ、したたかで如才ないことがわかるのが面白い。
時計屋の女房(コンセプシオン)のステファニー・ドストラック(ソプラノ)が歌唱・演技とも魅力的で大活躍。演出も意外とエロティックでは。歌詞も時々それなりの意味がありそうなものがあった。
《こどもと魔法》は対照的な舞台づくり。暗闇のなかからヌット登場するといった感がある。非常に大きな家具――イスとか机。家人も大きい。巨大ママの登場には思わず会場から笑いがもれましたね。宿題なんかイヤとか、お菓子を存分に食べたいとか、動物や昆虫を追いかけるとか。日頃のこどもの行動と夢が幻想的な舞台に表現される。最後はこどもが「ママ!」と叫んでスパッと終わる。結局、魔法の主はママと言うことかな。
【収録:グラインドボーン音楽祭歌劇場 2012.8.19】