大野和士:ベートーヴェンを振る |
本日はベートーヴェン・プログラム。大野のベートーヴェンを聞くのは久しぶりだ。N響で第九があったが。それに、トスカニーニ指揮者コンクールの優勝凱旋公演で《英雄》を聞いた覚えがあるのだが、おぼろな印象だ。→こちら
今日のオケ配置はコンパクトに感じる。よくみるとコントラバスも6台が国内オケで見慣れた上手に並んでいる。それに、弦楽器とか金管楽器など、それぞれのグループも数が少ないようだが。オリジナル編成を尊重しているのか。指揮者の意向があるのかな。
最初のピアノ協奏曲。やはり、P席ではピアノ演奏の鑑賞は不向きだな。素晴らしいタッチだろうなと想像するしかない。弱音の透明感は伝わってきたのだが。この第4番は大野も柔らかな指揮ぶりである。演奏を終わって、つまらないことが気になりました ――ピアノ奏者と指揮者との握手とかハグのような儀式がなかったのでは。
《英雄》について。大野は、大編成でオケをガンガン鳴り響かせるとか、大げさなベートーヴェンをさけていたのだろうか。第1楽章にしても、気合いをこめて指揮棒が振り下ろされたのだが、さりげない印象を受けた。しかし、第2楽章になると、いちだんと高揚感があったと思う。悲壮感ももりあがり、この曲の頂点とも感じられた。スケルツォを経て終楽章に。意外とあっさりとフィナーレを閉じたようだ ――個人の独断的な印象だろうか。ほかの人の感想も伺いたいものだ。
アンコールは第1日とまったく同じ3曲のサービスであったが、……。
<プログラム>
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番
ベートーヴェン:交響曲第3番 《英雄》
指揮:大野和士
ピアノ:インゴルフ・ヴンダー
管弦楽:ウィーン交響楽団
<アンコール>
(インゴルフ・ヴンダー)
モシュコフスキー:8つの性格的小品より“Etincelles”
(大野和士/VSO)
J.シュトラウスⅡ:ワルツ《春の声》、トリッチ・トラッチ・ポルカ、《雷鳴と稲妻》(2013.5.14)