奏楽堂 モーニング・コンサート |
プログラムの最初は、藝大音楽学部作曲科4年の渡部真理子さん作曲の《Undulation for orchestra》という管弦楽曲。Undulationとは"うねり"という意味らしい。
アメリカ人画家ウィンスロー・ホーマーの《月光・ウッドアイランド灯台》という絵に触発されて作曲したとのことだ。どんな絵か気になるのだが、こちらのサイトなどで見ることができた→ こちら
神秘的な月光が、ダイナミックに砕け散る波を照らしている。灯台は遠くにかすかに輝いているようだ。たしかに人を惹きつける印象的な絵である。
演奏前に作曲者の挨拶があった。渡部さんはミニスカートの似合うアイドルのようなカッコよさであった。もう少し曲についての解説を聞きたかった。プログラム・チラシにも空きスペースがあったので、絵のどんな箇所に触発されどのように楽曲化したとか。初めての曲だけに、もっといろいろ解説を書いて欲しかった。
指揮者の広上淳一さんが登場し演奏が始まる。冒頭から無調のような……、たしかに暗い海の様子である。強奏は荒波なのだろう。多彩な楽器群が鳴り響く、ハープ、チェレスタ?拍子木?木魚?等々。木琴もあったか。高級食材を盛りつけた注文料理のように華やか。やや散漫との印象を受けたのだが。広上淳一さんはエネルギッシュな指揮。若い作曲家を応援しようとの意図が感じられた。
プログラムの後半はハルトマンの室内協奏曲。クラリネットを演奏した中館壮志さん、藝大フィルハーモニアの弦楽も実力を発揮、広上淳一の的確な指揮と相まって聴き応えのある演奏でした。
ハルトマンの曲は静かな印象、弦楽主体のシンプルな構成ながら、バリエーションがある。どこにナチは"退廃音楽"との烙印を押したのだろう。この曲はコダーイへのオマージュでもあるらしい。ときに中欧風のメロディーが出てくるのが印象的。
クラリネットの中館さんも素晴らしいテクニックだったと思います。どこか、演奏――とくに音量の幅が狭いような印象を受けたのは何故だろう。広上さんは相変わらずダイナミックな指揮ぶり。独奏者への配慮もていねいでした。
<プログラム>
渡部真理子:《Undulation for orchestra》
ハルトマン:室内協奏曲~クラリネット、弦楽四重奏、弦楽オーケストラのための
(クラリネット:中館壮志)
指揮:広上淳一
管弦楽:藝大フィルハーモニア