エリカ・ケート(ソプラノ)の歌声 |
ご多分に漏れず自分も、オーディオ装置のテストには、まずは女性ボーカルをかけて聞き込む。…テレサ・ベルガンサ、ルチア・ポップ、藤田恵美、ジョーン・バエズ、等々。繊細な歌声がとくにスピーカーのチェックにぴったりだ。
そして、今はこのエリカ・ケートのCDだ。いつもの新古書店の片隅で拾い出したもの。エリカ・ケートは1960年代に活躍したドイツのソプラノ。1989年に89年に62歳で亡くなっている。ベルリン・ドイツ・オペラに帯同し1961・63年に来日している。来日公演で《フィガロ》のスザンナを歌ったらしい。
このCDの録音は1963年とのこと。彼女は36歳の円熟期か。とてもこの年代とは思えない新鮮な響きが聞こえる。エリカ・ケートの声がクリア。オーケストラがバックに広がる。
お気に入りは、《フィガロ》第4幕からスザンナのアリア「とうとうその時が来た」。ゆったりしたテンポである。リリックで繊細。コケティッシュな魅力があふれている。オケの伴奏もすてきだ。オーボエがからみ。モーツァルトの真骨頂。
ほかに、《魔笛》から夜の女王のアリアなど。《ルチア》から「狂乱の場」もあるが、こちらは、ちょっと場違い感がある。
◆「エリカ・ケート/オペラ・アリア集」(DENON COCO-84281)
エリカ・ケート(ソプラノ)
エルンスト・メルツェンドルファー指揮 ベルリン交響楽団、ベルリンRIAS合唱団
録音:1963年3月