藝大フィル定期:オール・R・シュトラウス・プログラム |
本年(2014)はR・シュトラウスの生誕150年とのこと。当夜の演目はそれに因んで、オール・R・シュトラウス・プログラム。
藝大フィルと指揮者・高関健のコンビの実力が充分に発揮された演奏会だったと思います。弦楽パートの細やかな演奏ぶりも印象に残りました。R・シュトラウスの達者なオーケストラ・マジックを堪能できましたね。自宅のCDは、《ばらの騎士》を除くと、R・シュトラウスのものはほとんど処分してしまったので、貴重な機会でもありました。
最初の曲は、《ばらの騎士》からの「ワルツ集」。組曲はよく耳にするのだが、「ワルツ集」は初めて。小粋な作品です。オケにウィーン風の色気があればなと思ったが無理な注文か。
ホルン協奏曲第2番。終楽章はまさにモーツァルトでした。ホルンの日高さんは、すぐれたテクニックです。以前に聞いていましたね → こちら
休憩をはさんで、《メタモルフォーゼン(変容)》。これは「挽歌」といった趣きだ。ちょうどナチス崩壊の1945年4月に作曲が完成したとのこと。心理的な影響があったのか。テーマは、ベートーヴェンの《英雄》からの引用らしいが、自分の耳には、マーラーの交響曲第9番の第4楽章がダブる。
プログラムの解説には、「カラヤンの実践にもとづく弦楽合奏版」とあったが、どういう意味か。演奏が2グループに分かれるようである。小グループの方は対位法的な厳しい演奏を行う。高関さんも指揮棒をもたずに演奏しましたね。
最後の交響詩:《死と変容》。これが25歳の作曲とは!豪壮な交響詩である。すでに、いかにもの、R・シュトラウスらしいはったりが聞こえてくる。オーケストラも全力の咆哮。木管群がよかったですね。とくにオーボエには客席まで強く浸透する力がありました。
高関さんはさすがに明確な指揮ぶりでした。
<プログラム>
◆オペラ《ばらの騎士》から ワルツ集第1番、ワルツ集第2番
◆ホルン協奏曲第2番
◆《メタモルフォーゼン(変容)》
◆交響詩:《死と変容》
指揮:高関健
ホルン:日高剛
管弦楽:藝大フィルハーモニア
コンサートマスター:野口八千代