コンヴィチュニーの 《皇帝ティトの慈悲》 |
この歌劇、わずかにLDを1回見たことがあるだけ。2幕構成であるが、1幕はほとんど勝手が分からず、演出に振り回された感があった。ようやく休憩後の2幕から、どうにか楽しめるようになった。しかし、この演出は、客席+オケピット+舞台を思う存分に駆け回るものた。4階の後列席では、身を乗り出しても様子が分からずにもどかしいものであった。
開始の序曲からして、演出がらみである。まさかここからコンヴィチュニーの意図が組み込まれているとは!序曲ぐらい落ち着いて聞きたかったのだが。
ズボン役の女性歌手の役が同じように見えて混乱してしまう。わずかに、セストの役割をつかんだ。
モーツァルト後期の作曲だが、意外と地味に聞こえるのは、馴染みの曲がないせいか。
しかし、アリアに木管管楽器の伴奏が寄りそう場面などさすがと思う。
それにしても、自由奔放、何でもありの実に目まぐるしい演出であった。
特にティトが蘇生するくだりなど、ここまでやるかの感。日本語、韓国語、……まで登場。
このオペラに馴染みのない観客にとっては、よりオーソドックスな演出を期待したものだが。
ティトの高橋淳が熱演でした。セストの谷口睦美もよかった。
<キャスト>
指揮:ユベール・スダーン 演出:ペーター・コンヴィチュニー
管弦楽:東京交響楽団 合唱:二期会合唱団
ティト:高橋淳、ヴィテッリア:吉田恭子、セルヴィーリア:菊地美奈、セスト:谷口睦美、他