《ドン・カルロ》 |
実に盛りだくさん。プログラムからキーワードを引用すると、叶わぬ恋、親子の葛藤、男の友情、渦巻く嫉妬、政治と宗教、権力闘争、……。
3時間を超える大作オペラ。ちょっと疲れたというのが第一印象。
グランド・オペラの枠取りであるが、舞台演出がどちらかというとシンプルなものであり、豪壮な音楽が鳴り響くさまとアンマッチな場面もあった。
すでに公演も4回目、かなり出演者もこなれているようである。
冒頭から、男声の二重唱(カルト、ロドリーゴ)が緊迫感のある素晴らしいものであった。
このオペラ、男の友情がテーマではないか。
プログラムに、幸田浩子さんの名前を見ていたのだが、第2幕の幕切れで「天使の声」の役柄、赤子を抱いてのわずかな出番であった。
今日の東フィルの演奏。見違えるようであった。
指揮者か、それともNHKが映像収録とのアナウンスがあったが、その影響か。
第3幕、フリッポ2世のアリアでのチェロのバックアップも印象的であった。
【キャスト】
指揮:ミゲル・ゴメス=マルティネス
演出:マルコ・アルトゥーロ・マレッリ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
フィリッポ二世:ヴィタリ・コワリョフ
ドン・カルロ:ミロスラフ・ドヴォルスキー
ロドリーゴ:マーティン・ガントナー
エリザベッタ:大村博美
エボリ公女:マルゴルツァータ・ヴァレヴスカ
宗教裁判長:妻屋秀和
修道士:長谷川顯
天よりの声:幸田浩子