福岡伸一著 『生物と無生物のあいだ』 |
素人考えでは、ダーウィンを越えていると思うのだが
読んでいて ワクワク感がある
生命を定義するひとつの基準として、著者は「動的平衡」を挙げている。
生命が「動的な平衡状態」にあることを最初に唱えたのは、ルドルフ・シェーンハイマーだそうだ。
この「動的平衡」論をもとに、著者は生物を無生物から区別するものは何かを、まったく新しい視点から考察している。
「動的平衡」とは、ちょっと耳なれない言葉である。
しかし本書を読み進むほどに新鮮なアイデアが伝わってくる。
相補性の関わりとか、折り紙にたとえた説明など、実に説得力がある。ダーウィンを越える新説ではないか?
肉体というものについて、私たちは感覚的に、外界と隔てられた物としての実体があると感じている。
しかし、分子のレベルではその実感はまったく当てはまらない。生命体は、たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」でしかない。
しかも、それは高速で入れ替わっている。この生命の状態という概念をさらに拡張して、著者は「動的平衡」という言葉を導入したという。
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◆『生物と無生物のあいだ』福岡伸一、講談社現代新書、2007/5
著者の福岡伸一さんは、1959年生まれ。現在、青山学院大学 理工学部教授
あらためて調べると ほかにも興味をそそる著書がならんでいる
『もう牛を食べても安心か』文春新書
『プリオン説はほんとうか?』講談社ブルーバックス
故高城重躬の検索で Smart さんの頁を見つけてから、断続的に読んでいます。音楽のみならず、本の紹介も楽しみしています。今回ご紹介の本も読もうと思いました。
ところで「動的平衡」は生物の世界ではあたりまえですが(ホメオスタシス)、無生物でも非常にシンプルな例があります。それは「ロウソクの炎」です。ロウを熱で溶かして吸上げ、酸素と混ぜて燃焼させて、ススとガスと水を放り上げていますが、ロウの分子は常に入れ替わりながらも、炎はいつも似たような形を保っています。不思議です。
リタイアまでは相当ありますが、Smart さんのようにコンサート三昧の日々が送れたらよいなぁなどと思っています。今後も興味深い話を書いてください。では失礼します。