藤原歌劇団公演 ロッシーニ:《どろぼうかささぎ》 |
ロッシーニ作曲:《どろぼうかささぎ》東京文化会館、2008.3.7(金)
3日間の公演うち本日は初日で、主役はイタリア人バージョン。
2幕構成でほぼ3時間の長大なオペラである。
実話に基づいているそうだが粗筋はこうだ。高価な食器を盗んだとして、若い女の召使い(ニネッタ)が濡れ衣を着せられ、ついには裁判で死刑を宣告されてしまう。しかしひょんなことから、かささぎのいたずらと分かってハッピーエンド。そこに登場するのが、ニネッタの恋人ジャンネットと彼女に横恋慕する悪代官。
開演前にプレトークとやらがあった。かなりうるさい感じ。どこかで聞いた元アナウンサーのようだがしゃべり過ぎである。
そのあと、木管/フルート奏者が、序曲のなかのクレッシェンドのパッセージをしきりに練習している。いまさら大丈夫なのか?とちょっと心配になる。
どうも疲れがあったのか、第1幕から何となく緊張感が続かない。
ようやく第2幕から、舞台と波長が合ってきたようだ。
気の利いたアリアが随所に織り込まれている印象だ。
第2幕冒頭の、牢屋に閉じこめられているニネッタとジャンネットの二重唱「でもいつの日か分かってくれるでしょう」なんて、とても良かった。
やはり、主役の2人、ニネッタとジャンネットが抜群ではなかったか。
ニネッタを歌ったチンツィア・フォルテは容姿も可憐――残念ながらオペラグラスを忘れたので4F席からはよく確認できませんでした――声ものびのびとつやがありました。
ジャンネットのアントニーノ・シラグーザも若々しいテノールでよかった。
43歳とのことだが、ロッシーニのスペシャリストらしい。それにユーモアのセンスもあるようですね。第1幕で、兵役から戻って母親と再会するおりに、確か日本語で「オカアチャン」と叫んでいなかったか?
どうも初日のせいなのか、オケは序曲から危なっかしい様子。徐々に慣れてきたが。
指揮者(ゼッタ)は手取り足取りの様子であったが、よくまとめていたと思う。
ヴェテランの味かな。
大活躍したののが、オペラを通して、空中を飛び回るかささぎ君。
当初はピアノ線ででも吊ってあるのかと思ったのだが、ラジコンであることがわかった。カーテンコールでは、ラジコン操縦の黒子が登場し拍手を受けていました。
ニネッタ:チンツィア・フォルテ
ジャンネット:アントニーノ・シラグーザ
代官:妻屋秀和
ピッポ:松浦麗
指揮:アルベルト・ゼッダ
演出:ダヴィデ・リヴァーモア
合唱:藤原歌劇団合唱部
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団