若杉弘・東フィル 《ペレアスとメリザンド》 |
要するに演奏会形式であるが、オケはピットに入って演奏するということ。
タクトは若杉弘で、オケは東フィル。
舞台上には簡素なセットがもうけられており、
場面によって舞台が回転して照明とともにわずかに雰囲気を変化させる。
歌手は最小限の演技のみ。コスチュームも通常の演奏会用のものだ
全体的に満足度の高い公演であった。
中劇場のスケール感にぴったりマッチしたオペラだなと
若杉弘の指揮も的確ではなかったか
オケもよかった、冒頭からドビュッシーの雰囲気を醸し出す
時に快く夢の世界に入ることもできた
もちろん欲を言えば、もっとアンサンブルの精度を上げてくれとか
全5幕を2分割して、前半に1~3幕、休憩30分をはさんで後半の4、5幕
4幕からはゴローの凶悪な振る舞いがあり厳しい場面が続くので
構成上からも無理は感じられなかった
ゴローが年甲斐もなく若い妻をめとったために、嫉妬に狂ってしまったという痴話ごとでもないようだ。
メリザンドはゴローを愛していなかったと告白しているのだから
脈絡もなく《トリスタン》に通じる雰囲気を感じてしまったのだが
それにしても、あの赤児はだれの子どもなのか?
歌手はすべて好ましい印象であった。メリザンド(浜田理恵)も魅力的であった
男声も良し。個人的にはゴロー(星野淳)を好ましいと感じた
カーテンコールに登場したメゾ(寺谷千枝子)が松葉杖で、ちょっと痛々しかった。
舞台では椅子に座っての演技だったので気がつかなかったが