ワーグナーの肖像写真 |
この写真は、ナダールの撮影した「作曲家リヒャルト・ワーグナー」(パリ、1859年)。ボッセルト/グットマン『写真の初期から』所収したとのことだ。1859年はワーグナー46歳のときである。厳しい目つきに引き込まれる。壮年のエネルギーを内包しているような力強さだ。政治家のような風采を感じさせるが。ひょっとして人違いか?
年表を調べると、この年はヴェネチアに滞在している。健康状態は万全ではなかったようである。3月にヴェネツィアからルツェルンへ向かう。ここで《トリスタン》第3幕を完成。8月には《トリスタン》の総譜が完成した。9月パリに戻り、1861年7月まで滞在。写真はこの間に撮影されたか。パリでは、《タンホイザー》《ローエングリーン》《トリスタン》などの上演を画策する。→《トリスタンとイゾルデ》
この写真が載っていたのは、ヴァルター・ベンヤミンの原著を久保哲司さんが編訳した『図説 写真小史』(ちくま学芸文庫1998年刊)。ベンヤミンについてはまったくうといのだが、1892年ベルリン生まれのユダヤ人、20世紀最高の批評家・文章家のひとりだそうだ。
この本は、ベンヤミンの『写真小史』を、わが国ではじめて写真入りで提供するものだという。『写真小史』は1931年前後、ドイツの週刊新聞『文学世界』に分載されたもの。当時は、写真史のうえで、それまでの芸術写真に代わって、即物的・客観的な写真が興隆してきた時期。アジェ(1857-1927)などの注目すべき写真集が現れた。
このエッセイには初出の際、数枚の写真が付されていたのだが、本書ではそこで言及されている写真集などから、重要な図版を採録したものだという。ナダール(1820-1910)の写真も注目された。
私もワーグナーの音楽をずっと聴いていましたので。、興味深く読ませていただきました。
私の気をとめていなかったことも詳細にご説明されていて、大変勉強になりました。ありがとうございます。
私は最近「タンホイザー」を鑑賞してきました。
ブログに感想などを書いてみましたので、ご意見、ご感想などコメント頂ければ感謝致します
また勉強させてください。