METライブビューイング:ワーグナー 《トリスタンとイゾルデ》 |
2013.9.22(日) 東劇
ライブビューイングは初めての経験であった。さすがにMETだけに上演レベルは高いな思った。長時間公演なので午前10時開始の上演を選んだが、終演時には首が痛くなった。スクリーンを見おろすような座席配置であれば、まさにオペラ体験そのものだが。音響的にはやはり映画館の音でした。5.1chサラウンドだったのかな。
本日の《トリスタンとイゾルデ》は2008.3.22の公演を収録したもの。ジェームズ・レヴァインの元気な指揮姿を見られた。前奏曲からゆったりしたテンポである。終幕はもっとうねるような高揚感が私的な好みではある。
やはり、イゾルデの、デボラ・ヴォイトが一番でした。声質も魅力的でしたが、例えば第1幕、媚薬をほした後、表情が一変しトリスタンに対するあたりの演技は抜群ですね。
トリスタンは、当初予定のベン・ヘップナーが体調不良とのことで、急遽ベルリンからロバート・ディーン・スミスが呼ばれたとのこと ――第2幕だかのインタビューで、METのマネジャーが、現在(2008年)世界で、トリスタンを歌えるのは10人程度とのこと。ネットワークがあるので急な代役にも対応できるとのことだった――。無難にこなしましたが、役作りの時間が不足したのでしょうか。ちょっと相撲の九重親方にそっくりとの感想は私だけではないようです。
マルケ王はマッティ・サルミネン!存在感たっぷり、健在でした。
ブランゲーネのミケーレ・デ・ヤング。大柄でした。インタビューでも答えていましたが意欲的です。将来を期待したいですね。名前を覚えておきます。
演出はどうなのか。第1幕冒頭から巨大な帆が舞台全面に張り巡らされている。MET自慢のメカニズムも活躍する様子。しかし尻つぼみだったのでは。最終幕に出てくる彫像?は何なのか、イゾルデもトリスタンに対して演技が冷淡ですね!
それと、マルチ・スクリーン・モードとかの映像方式。ときに歌手の細かい演技を確認できるなどのメリットを感じたが。多数の画面(6画面?)が並ぶときなど、ひとつの画面が小さくなり意味づけがわからない。映像的魅力も発散しない、煩わしいだけである。
スーザン・グラハムさんとかの歌手がインタビューアー。同業とのことで歌手へのインタビューは実感的なもので楽しいもの。歯切れの良いインタビューでした。
<キャスト>
イゾルデ:デボラ・ヴォイト
ブランゲーネ:ミケーレ・デ・ヤング
トリスタン:ロバート・ディーン・スミス
クルヴェルナル:アイケ・ヴィルム・シュルテ
マルケ王:マッティ・サルミネン
指揮:ジェームズ・レヴァイン
演出:ディーター・ドルン
<MET上演日:2008.3.22>