若林顕 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全32曲 第2回 |
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲演奏の当夜は第2回。第1回は →こちら
まさにベートーヴェン自身の成長・進化を目の当たりにするという興味深いプロジェクトだ。ピアニスト若林顕さんのセルフ・プロデュースとある。息の長い、意欲的な取り組みに感謝したい。本日もピアノ・ソナタ3曲ほかをすべて暗譜で弾ききった。さすがにすごい力量である。
はじめに若林さんの簡潔な曲紹介があって演奏が始まった。
第19番・第20番ともに、作品番号はOp.49であるが、曲/作品番号とは異なり、いずれも最初期のソナタ(Op.2)とほぼ同一の作曲時期である。2つのソナタともに、「リラックスしたベートーヴェン」といった印象である。ソナチネ・アルバムに組み込まれているのも宜なるかなと感じた。第20番の後半部などシューベルトを思わせる。若林さんからは"Too Easy Piano Sonata"との紹介があったが、演奏は難しいとのコメントも。
アンダンテ・ファヴォリは、第21番《ワルトシュタイン》の第2楽章として作曲されたとのこと。変奏曲のかたまりか。
最後に演奏された、ピアノ・ソナタ第3番。さすがに既にして大家・ベートーヴェンの風格をもった音楽である。堂々とした主題提示からスケールが大きい。ダイナミックレンジが格段に広がっている。第2楽章にしても、抒情的な優しいメロディが突然のフォルテで打ち破られるといった、ベートーヴェンらしさがある。壮大なエンディングで曲を閉じる。
<プログラム>
ピアノ・ソナタ第19番Op.49-1
ピアノ・ソナタ第20番Op.49-2
アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調WoO.57
ピアノ・ソナタ第3番Op.2-3