藝大ピアノ・シリーズ2014 「ベートーヴェンのソナタ」第3回 傑作の森 |
このシーリズは全4回で、ートーヴェンのピアノ・ソナタと、ピアノを伴うソナタをまとめて、年代順に聞き比べようというもの。第3回は「傑作の森」と題している。
「傑作の森」とはロマン・ロランの言葉で、ピアノ・ソナタ《熱情》に続いて、交響曲第4番~6番やラズモフスキー弦楽四重奏曲(3曲)などの力作が作曲された時期を指す。
ベートーヴェンの同一時期の作品が、まとまって演奏されるのは、ちょっと得がたいチャンスだと思う。それも異なる演奏者の出演で。台風19号の来襲が近づくなかを上野奏楽堂にうかがった。
今回のようにベートーヴェンの同一ジャンルの曲を異なる演奏者で聞くと、自ずからそれぞれの奏者の、演奏技術や演奏コンセプトが聴衆の前に画然と提示されるようだ。素人聴衆の立場としては無責任に面白い。やはり最後に《熱情》を弾いた江口玲さんがダントツだったなと感じた。ピアノの魅力的な響きといい、ダイナミックな音量、意志的な演奏ぶりが圧倒的であった。
ピアノ・ソナタ第21番《ヴァルトシュタイン》(Pf:伊藤恵)は、ちょっとモーツァルト的に感じました。第2楽章のリリックな音色が特徴だったのか。
ヴァイオリン・ソナタ第7番(Vn:松原勝也、Pf:有森博)は、いかにもVnソナタらしい、それぞれが協演する、堂々とした演奏だったと思います。
ピアノ・ソナタ第26番《告別》(Pf:佐々木崇)、グレン・グールド的な雰囲気を感じる演奏でした。思索的な演奏ですね。
ヴァイオリン・ソナタ第8番(Vn:玉井菜採、Pf:坂井千春)は、第2楽章の優しい響きが印象的。ピアノが明確な響き。
さすがに最後の《熱情》は、確かにベートーヴェンを聞いたという感触が強く残る。
<プログラム>
(1) ピアノ・ソナタ第21番《ヴァルトシュタイン》Pf:伊藤恵
(2) ヴァイオリン・ソナタ第7番 Vn:松原勝也、Pf:有森博
(3) ピアノ・ソナタ第26番《告別》Pf:佐々木崇
(4) ヴァイオリン・ソナタ第8番
(5) ピアノ・ソナタ第23番《熱情》
この演奏会も行きたかったですね。
ピアノ・ソナタ第21番《ヴァルトシュタイン》、ヴァイオリン・ソナタ第7番 、 ピアノ・ソナタ第26番《告別》、ヴァイオリン・ソナタ第8番、ピアノ・ソナタ第23番《熱情》と書きな曲ばかりです。
語呂合わせではありませんが、《熱情》は文字どうり熱演でしたね!