ヨハン・シュトラウスII世の《こうもり》 |
日本語によるユーモア・くすぐりを随所に交えていた。第3幕の刑務所のシーンなど、焼酎をめぐるコミックなやり取りが楽しい。第2幕の、アデーレとイーダの女性同士の会話は日本語であった。ここを無理して原語でやる必要はないな。
アデーレの中嶋彰子がさすがに聞かせてくれた。芸達者でもある。コミカルな持ち味が生きていた。オルロフスキー公爵のエレナ・ツィトコーワも魅力的。かえすがえすもオペラグラスを忘れたのが残念であった。
それに、アルフレード役の水口聡(テノール)は怪演ではなかったか!?声量がたっぷりである。容姿的にはとてもロザリンデのかつての恋人とは思えない小太りの・短足に見える。身に余るガウンをずるずると引きずるようにして、大声を無遠慮にはりあげるのだから、巧まざるユーモアが生まれる。
第1幕は、ぬり絵を切り出したようなセット。ちょっと安っぽく見えるが、第2幕以降との対照か。新国立の大きな舞台とメカニズムを生かしたもの。
しかし、たとえば第3幕、看守が壁に帽子を掛けるのに何回も失敗するくだりなど、かつてLDで観たオットー・シェンクの演出にそっくりではないか。
指揮:ヨハネス・ヴィルトナー
演出:ハインツ・ツェドニク
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
【キャスト】
アイゼンシュタイン:ヴォルフガング・ブレンデル
ロザリンデ:ナンシー・グスタフソン
フランク:セルゲイ・レイフェルクス
オルロフスキー公爵:エレナ・ツィトコーワ
アルフレード:水口聡
ファルケ伯爵:ポール・アルミン・エーデルマン
アデーレ:中嶋彰子
ブリント博士:高橋淳
フロッシュ:ハンス・クレマー
イーダ:中村恵理