岩城宏之『九段坂から』 |
古本屋で手にしたのが『九段坂から』という文庫本。
この『九段坂から』、題名からは身辺エッセーのようにうかがわれるが、副題に「棒ふりはかなりキケンな商売」とあるように、闘病記ともいえる。
しかし、いわゆる感傷的な内容ではない。著者の難病と対峙する姿勢が一見淡々として清々しいまでの印象を与えるのである。
著者・岩城宏之は、1987年(55歳のとき)に九段坂病院に入院する。指揮者の宿命ともいえる20年来の病、「頸椎後縦靱帯骨化症」を治すため、首の手術をすることになった。
レポートと言ってもよい正確さで著者は手術の様子を報告するが、ちょっとやそっとの簡単な手術ではない。
ハロー・ベストを装着するくだりなど、読みながら思わず自らの頭をなでまわしてしまう。
しかし、著者はこのハロー・ベストまでも妹尾河童を引き込んで怪盗ルパンマントにして楽しんでしまう。入院生活が快適で陽気なものになったという。
この様子が表紙に載っている写真であろう。
やはりものすごい読書量ですね。kanaさんの1/10でも読めれば、相当な量になります。世田谷殺人事件の本を昨日から読み始めましたが、読むのが怖くて、なかなかはかどらない状況にあります。