茂木健一郎著 『クオリア入門』 |
「クオリア」とは、「赤い色の感じ」や「ヴァイオリンの音色」など、私たちの感覚を特徴づける独特の質感を指す。
自然法則を構成している長さ、面積、質量といった物理的な量とは何の関係もない、それぞれユニークで鮮明な存在感を持っている。
◆『クオリア入門 心が脳を感じるとき』 (茂木健一郎、ちくま文庫) から
私たちの心は、このようなクオリアたちの住む世界。クオリアは、私たちの心とは何かという問題の中核にあるのだという。
まだ本書は読了していないのだが、読み進むにつれて「そうなんだ!」という感が増してくる。
大脳生理学の素人には、ちょっとショッキングだ。
…… 目の前に広がっている牧場の景色は、私の外にあると思っているけど、本当は私のこの小さな頭蓋骨の中にしか在しない。
私の頬をなでているこの風も、実は私の小さな頭蓋骨の中にある表象にすぎない。
私に見えていることの全ては、本当は、私の外にあるのではなくて、私の頭蓋骨の中にあるニューロンの発火の結果生ずる現象に過ぎないのだ。
……私の心は、あくまでも、この1リットル足らずの頭蓋骨の中にある。