レコード芸術 9月号:日本レコード史 CD編 |
もちろん、吉田秀和の連載「之を楽しむものに如かず」は楽しみである。今回はアルゲリッチへ。
海外楽信には、グラインドボーン音楽祭に《ヘンゼルとグレーテル》を振ってデビューした大野和士の記事がある。大胆な演出に屈さぬマエストロ・大野和士、……
実はこのところ楽しみにしているのが、「歌崎和彦の日本レコード史」、というシリーズ。現在はCD編が続いている。9回まで来た。
ソニー・フィリップスの連合軍がデジタル時代の先駆けとなるCDを、1982年に発売に至ったまでの裏話といったところか。フォーマットを決めることから、ハードの一つひとつの基幹部品の開発とか。とにかく何から何まで手探り状態だったようだ。
そんななかで、当時のソニー会長だった大賀典雄のリーダシップの発揮ぶりが活写されているのがオモシロイ。
たとえば、CDのサイズを12cmに決めたくだり。とにかくベートーヴェンの交響曲第9番を1枚に納めるために74分の記録時間になった
――これには、カラヤンが固執したとかの話もありますね。
CDプレーヤが現在の横置きスタイル(CD盤をトレイの上に置く)になったとか
技術者がとかくテクノロジーに取り憑かれて、それ一本に突き進んでしまうのを、大賀典夫が音楽家、一般使用者の眼で軌道修正する。そして創るべき目標を指し示すこと。
こんな大賀発言もあったようだ
「全部俺の言う通りにやってリードしたはずなのに、ひとつだけ出来んかった奴がいる」と悔しがったとのこと。
――これはCDプレーヤ1号機の光ピックアップの半導体レーザーにシャープ製を使ったことを指すらしい。
◆大賀典雄:『SONYの旋律 ――私の履歴書―』→ こちら