原発の危機管理:アポロ13号の教訓 |
毎日新聞によれば、事故調は、事故直後の政府対応について「官邸主導による現場への過剰介入があった」と批判し、菅直人前首相について「(政治家が細部に口を出す)マイクロマネジメントに走り、危機管理の取り組みとして不合格だった」と酷評したそうだ。 個人攻撃のような印象があるのは残念だが、想定外の未曾有の事故に直面した際の危機管理の重大さに言及している。
突発事故での危機管理の重要性を強く印象づけるものとして、「アポロ13号の事故」を忘れることができない。このドキュメントは、新潮文庫『アポロ13号 奇跡の生還』(立花隆訳、1998/7刊)で読める。トム・ハンクスの主演で映画化もされている。
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アポロ13号は1970年4/11にリフトオフするが、4/13地球から33万キロの距離で酸素タンクが爆発する。月まであと1日の航程にあった。電力供給ラインが死んでしまう。酸素なし、水なし、エネルギーなしで、零下100度以下の超低温空間を3人の宇宙飛行士はどう生き抜き地球に生還するのか。想像もつかない深刻な事態の発生だ。
宇宙飛行士と地上の管制センターが必死の対応策を実行する。予想外の問題がくり返し発生するがその都度知恵をしぼって切り抜ける。 宇宙飛行士3人が無事地球に帰還したのは5日後の4/17である。
地上管制センターの飛行主任の必死の危機管理とリーダーシップ、帰還への手順を検証しきちんとチェックリスト化する努力に強く印象づけられた。
この本『アポロ13号 奇跡の生還』のまえがきで、訳者の立花隆は、こう書いている。
……アポロ11号の成功より、アポロ13号の失敗のほうが、アメリカの宇宙技術のすごさを示している。日本には、技術力だけでなく、アポロ計画のようなビッグ・プロジェクトのマネジメント能力もなければ、まして、アポロ13号で起きたようなとてつもない危機に対応する危機管理能力もない。このようなマネジメント能力において決定的に立ち遅れている。
アポロ13号の事故は1970年、既に42年前のことだ!
