デュオ・リサイタル 毛利文香&アブデル・ラーマン・エル=バシャ |
2018.12.11(火)
横浜市港南区民文化センター「ひまわりの郷」ホール
かねてファンである、エル=バシャが登場するとのことで、上大岡に出向いた。
ピアニストのエル=バシャの名を知ったのは、大野和士と協演したプロコフィエフのピアノ協奏曲・全曲録音のCDである。「天馬空を行く」という表現がまさにピッタリ!圧倒的なピアノ・テクニックであった。プロコの第3番なんて超絶技巧曲だと思うのだが、高揚感たっぷりに難なく弾ききっている。
1958年生まれとか、今年は還暦かな。舞台への登場ぶりからして年齢を感じさせないスマートで洗練されたもの。ピアノに向かう姿勢も余計な思い入れもなく端麗だ。終演後にプロコのCDにサインをもらいました。大事に飾っておきます。
ヴァイオリンの毛利文香さんの経歴を拝見すると、慶応大学文学部(ドイツ文学専攻)を卒業し桐朋学園大学に入学したとある。なかなかユニークではないか。ドイツにも留学したようである。2015年には、パガニーニ国際コンクールで2位とのこと。本格的に国際舞台に進出しているのか。横浜市港南区に在住とのことで親近感がある。
本日のプログラムは、モーツァルト、シューマン、フランクと多彩である。ホールの規模にマッチした室内楽の素敵な演奏会でした。冒頭のモーツァルトからして、懐の深いエル=バシャのピアノが、やさしく毛利さんのヴァイオリンを包みこむようでしたね。エル=バシャさんはいつものように全曲が暗譜でした。
シューマンのヴァイオリンソナタ第2番。陰影の濃い音楽ですね。個人的にはもう少し聞き込んでみたい。曲の素晴らしさを堪能する域にまだ達していませんので。
やはりフランクのヴァイオリン・ソナタは名曲ですね。ピアノが静かに語り出すと、ロマンティックな雰囲気がただちに舞台から会場を埋め尽くします。中間楽章をすぎて最終楽章にはいると、もういちど初めのテーマが戻ってきて全曲を振り返るよう、なぜか幸福感がただよう……。
アンコールの《ノクターン》はエル=バシャの作曲とのこと。いかにも夜の静寂がただようようである。
<プログラム>
モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第26番K.304
シューマン:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第2番Op.121
フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタイ長調
[アンコール] エル=バシャ:ノクターン
<出演>
ヴァイオリン:毛利文香
ピアノ:アブデル・ラーマン・エル=バシャ
【参考リンク】
◆プロコフィエフ・ピアノ協奏曲(指揮 大野和士)
⇒http://www.kana-smart.com/New-SMART-12-07-23/Proko0123.htm
◆ベートーヴェン《ハンマークラヴィーア》
⇒http://www.kana-smart.com/New-SMART-12-07-23/ElBacha0412.htm

